海外から復興に向け助言も 広野町 「幸せな帰町」目指し国際シンポ

福島県広野町は15日、国際シンポジウム「広野町から考える〜幸せな帰町に向けて」を町内の施設で開催した(=写真)。緊急時避難準備区域の指定解除から2年半を経過した現在、住民のうち3割しか帰町しておらず、中でも子育て世代の女性の帰還率が低いことから、海外での自然災害により多数の住民が避難した事例を基調に、専門家とともに幸せな帰町について考え、新たな視点で問題を見つめなおし、具体的な行動に結びつけていくことを目的として行われたもの。

開会にあたって、広野町の遠藤町長は、「幸せな帰町について、行政はどう支援したら良いか議論したい。Jヴィレッジが解放される東京オリンピック開催に向けて、双葉郡の南の玄関口として復興の情報発信と幸せな復興に努めたい」と挨拶した。

国内外の専門家からは、世界の国内外への避難民の現状や、米国、インドネシアでの自然災害による避難民の帰還について研究報告が紹介され、広野町住民代表6人を加えたパネルディスカッションも行われた。

その中で、中学生代表からは、子供や親が安心するよう町を明るくすることが大事という発言があり、また、子育て世代の女性からは、「買物の利便性などについては個人の考え方次第、それよりも子供たちが心から笑えるような町にするためにも本音で行政と話ができる場がほしい」などとする声もあった。

これに対し、海外の専門家からは、「若い人は避難先で仕事など新しい生活を見出すことになるので、若い世代が元のように戻ってくるという過大な期待はしない方が良い。むしろ復興に際しては、強いリーダーシップを持って調整する機関が必要。そのためにも住民の意見を聞く事が大事」といった提案もあった。

来賓として出席した浪江町の馬場町長は、「浪江町はリターン(帰町)と言える状況にない。早く地元に戻って幸せな町を取り戻したい。浪江町からも、復興について情報発信に努めたい」などと挨拶した。

シンポジウムは、最後に、登壇者、関係者全員が声を合わせて「世界の多様な事例を学び、各人でできることを最大限努力して発展させていく」という「広野町からのメッセージ」を発表し締めくくられた。


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