半数企業が経常利益の減少を懸念 帝国データバンク 電気料金値上げで意識調査

帝国データバンクは12日、震災後の電気料金値上げに対する企業の意識調査の結果を発表した。調査は、5月下旬に行われ、全国約1万社から有効回答を得た。

それによると、電気料金の値上げに伴う自社の売り上げへの影響で、「減少する」と回答した企業は約2割、「影響はない」と回答した企業は約6割だった。他方、経常利益では、「影響はない」と回答した企業が約3割となっているものの、「減少する」と回答した企業はおよそ半数に上った。「減少する」と回答した企業を業界別にみると、「製造」、「運輸・倉庫」、「小売」で高率だった。

また、電気料金値上げに対する対応策では、「既存設備での節電を実施」が最も多く、「設備や照明などを省エネ型に更新」がこれに次いだ。

値上げ分の自社商品・サービス価格への転嫁については、6割超の企業が困難と考えており、コストアップ分は自社で吸収する向きが明らかとなった。

今後のエネルギーとして重要性を増すものを、複数回答を許し尋ねたところ、「太陽光」が66.5%で最も多く、次いで、「天然ガス火力」(43.8%)、「風力」(33.9%)、「地熱」(27.2%)、「原子力」(25.5%)となった。特に、「太陽光」を期待する企業は、すべての企業規模、業界、地域で6割を超えていた。

経営的視点から、原子力発電所の再稼動については、8.2%の企業が「すぐに再稼動すべき」、31.3%が「安全確認ができたものから順次再稼動すべき」、17.7%が「電力供給に必要な最小限だけ再稼動すべき」と回答しており、約6割の企業が必要を認めている状況が示された。他方、原子力発電所を「徐々に廃止すべき」が25.4%、「すぐに廃止すべき」が8.6%の回答となっていた。具体的な意見としては、「現状、原子力で安全性は担保できないと思うが、このまま電気料金が上がり続けると経営的には影響がある」など、現実的な選択として、再稼動はやむをえないと考える企業も多かった。廃止すべきと考える企業からは、安全性の他、廃棄物問題をあげる意見があった。

今回調査では、電気料金値上げに対する企業の削減余力は縮小しつつあり、今後も値上げが続くならば、企業業績への影響はより深刻なものとなるなどと分析している。


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