安定電源としての原子力ゼロ 厳しい電力事情続く 予備率3%綱渡り状態 再稼働求める声

新規制基準の審査の先行きが見えないなかで、安定的な電源としての役割を担う原子力発電の供給ゼロ状態が続いたまま、夏季需要期を迎えることになった。

今夏の供給予備率は全体平均で3%と、事実上の綱渡り状態で、電力各社では火力設備をフルに稼働させ、広域融通でやりくりする状況になっている。

資源エネルギー庁は、火力設備の点検確認を行ってトラブルなどがないことを確認。同時に、今夏需給対策として中西日本の電力各社(中部、関西、北陸、中国、四国、九州)に、予備力積み増しを要請し、合計55.3万kW分が確保された。このうち、特に需給の厳しい関西電力と九州電力の積み増し分は43.4万kWと大部分を占めており、いずれも、東日本から融通しなくても予備率3%を確保できるよう要請を行った。

帝国データバンクが5月に2万3000社余りを対象とした調査では、電力料金値上げで経常利益が「減少する」と回答した企業は5割を超え、値上げ分を転嫁できないと回答した企業は6割を超えたことがわかった。

原子力ゼロの影響が企業活動に確実に悪影響を与えており、また地域経済への悪影響が続くことに危機感を抱く地域の経済団体や自治体などから、原子力発電の早急な再稼働を求める声が政府に寄せられている。


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