超伝導導体が初完成 ITER向け製作 次工程の米へ輸送

日本原子力研究開発機構は6月23日、ITER主要機器の電磁石(中心ソレノイド)で用いる高性能超伝導導体全49本のうち、最初の5本を完成させたと発表した。これらの導体は、次の製作工程を担当する米国に25日より、引き渡しが開始され、国際合意された製作分担に基づくITER用機器が初めて海外にわたることとなり、ITER計画における日本の貢献として、重要な節目となった。

中心ソレノイドは、変圧器の原理でITERプラズマ中に大電流を流しプラズマ閉じ込め磁場を作るための超電導磁石で、総重量は953トン、そのうち、日本が担当する導体の重量は約700トンに及ぶ。

製作は、直径0.83mmの超伝導素線と銅線を5段階に分けて撚り合わせるが、20年間の運転期間で6万回の「繰り返し電磁力」を受けることにより、徐々に性能が低下する課題があった。原子力機構は、この性能低下が、導体を構成する一部の超伝導素線の変形が原因で起こることを突き止め、撚り方の改良を施し、高性能化を実現できた。

今後、導体の製作は、17年まで行い、定期的に米国へ輸送される予定だ。


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