金箔職人の技の高さを確認 X線で金屏風分析

リスボン大学原子物理学センターの研究グループは、ポルトガルの博物館及び個人が所蔵する金屏風6点の金箔の厚みを蛍光X線分析で比較し、時代とともに金箔をより薄く打ち延ばす技術を向上させていることをシュプリンガー社の「Applied Physics A: Material Science and Processing」で発表した。金屏風は、安土桃山時代のもの4点、江戸時代初期のもの2点で、各元素の蛍光X線の輝度の比率から、金属薄膜層の厚みを比較した。結果、同時期に製作されていたものと考えられていた江戸時代初期の作品である2点の金屏風の金箔の厚みに100nm程度の違いがあることが判明し、箔打ち技術の進展で薄い金箔のもののほうがより新しいと判断することができた。金属薄膜層の組成が純粋な金のみからなる対象(100%Au)も、銀を5%含む対象(95%Au5%Ag)も同等の結果を示すことが確認された。世界的に評価の高い日本の職人技は今回の結果により、当時ナノスケールでの薄さを追求していたことがわかった。


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