アトーチャ3の入札念頭に アルゼンチンが露と協力協定

アルゼンチンのC.フェルナンデス大統領(=写真右)とロシアのV.プーチン大統領は12日、ブエノスアイレスで原子力平和利用分野における政府間の協力協定に調印した。2012年12月に満了した両国間の協力協定に代わるもので、アルゼンチンが進めているアトーチャ原子力発電所3号機建設計画にロシアの原子力総合企業ロスアトム社が正式参加する際の法的枠組となる。

両国はこれに先立つ10年4月、同計画にロシア型PWR(VVER)を建設する可能性調査のための技術情報共有で合意。11年5月には協力覚書(MOU)を締結しており、この段階でロスアトム社は同建設計画の潜在的な供給業者となる予備段階の有資格企業に認定されていた。

同国ではエンバルセとアトーチャの両原子力発電所でそれぞれ、カナダ原子力公社(AECL)製、独シーメンス社製の加圧重水炉(PHWR)が1基ずつ稼働中のほか、3基目のアトーチャ2号機(PHWR、74.5万kW)が今年6月に初臨界を達成した。

同国の計画投資サービス省によると、アルゼンチンはこれに次ぐアトーチャ3号機として同国初のPWRを導入するための入札準備中で、ロスアトム社を含めて日仏の合弁事業体であるアトメア社など合計5社が予備的有資格企業として認定済み。ウェスチングハウス社や韓国、中国の企業にも入札参加を打診した模様で、同省のJ.デビド大臣は「重水炉段階を完了した我が国はこれと並行して、技術移転を含めた軽水炉の導入建設に移行する」と明言している。

両国は来年、国交樹立130周年を迎えるのを契機に、今回、様々な分野における戦略的連携の強化で合意。ロシアはアルゼンチンの原発建設計画に十分な財政支援条件を提示したほか、水力発電やシェールガス開発等でも協力を約束した。


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