改定版の欧州安全指令を採択 欧州理事会

欧州理事会は8日、福島第一原発事故後初めて改定した新たな原子力安全指令案を採択した。EU官報に掲載後20日間で正式発効となり、加盟各国は3年以内に改定版の指令内容を国内法に組み込むことになる。

現行の2009年版・安全指令への改正点として、各国の規制当局に一層の権限と独立性を持たせるとともに、2017年以降、少なくとも6年毎のピアレビュー実施が各国の原子力発電施設に義務付けられる。また、各国は10年毎の定期自己評価と、整合性の取れたサイト内緊急時計画と対策を導入することになるほか、国民への透明性を高め、教育訓練も改善するなど、EU全体で原発事故発生と放射性物質漏洩の防止を目指したハイレベルの原子力安全指令となる。

ECのG.エッティンガー・エネルギー担当委員は「この指令は欧州における原子力発電施設の安全性改善と強力な安全文化促進に大きく貢献する」と強調。原子力はEU域内の発電電力の4分の1、低炭素電力の半分を賄っていることから、原発の安全な操業を保証することは重要事項であり、改定版安全指令によりEUは原子力安全分野で先導的役割を果たすことになるとの展望を明らかにした。

欧州原子力産業会議(FORATOM)のJ―P.ポンセレ事務局長は欧州における原子力安全の法的、規制的、および組織的な枠組が強化されたとして歓迎。今後も継続的な安全性改善という原則を堅実に追求していくとの覚悟を表明した。


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