最大32基再稼働想定 エネルギー経済研究所 15年までの需給見通し

日本エネルギー経済研究所は25日、15年度までの経済・エネルギー需給見通しを発表した。分析に用いた基準シナリオで、原子力発電については、規制基準適合性審査の進捗状況を踏まえ、14年度下半期から徐々に再稼働が進むものと想定し、稼働基数、平均稼働月数、発電量はそれぞれ、14年度末に7基、3か月、140億kWh、15年度末に19基、9か月、1240億kWhと、現在、原子力規制委員会に審査が申請されているプラントすべてが再開するものとされている。

試算によると、15年度では、原子力発電の再稼働により、エネルギー自給率が回復し、CO排出量も減少傾向となるものの、まだ発電量が震災前10年度の半分にも満たず、化石燃料輸入総額は10年度比7.7兆円増、発電コストは同3.0円/kWh(産業用等電力価格の17%、家庭用の13%相当)上昇、CO排出量は同1000万トン―CO増、エネルギー自給率は同4.6ポイント減などとなっている。また、化石燃料輸入額が減少し、貿易赤字は、過去最大となった13年度の13.8兆円から、14年度に12.1兆円、15年度に7.2兆円まで縮小すると試算している。

さらに、調査報告では、原子力発電の再稼働に関して、進展、遅延を想定した「高位ケース」と「低位ケース」とを設けており、15年度末までの稼働基数、発電量を、それぞれ「高位ケース」で32基、1620億kWh、「低位ケース」で9基、420億kWhとしたほか、「高位ケース」の32基が15年度を通じ稼働率80%で発電する「フル稼働ケース」、同年度末まで再稼働プラントがまったくない「無稼働ケース」も設け、分析を行っている。

「フル稼働ケース」では、「無稼働ケース」と比べ、15年度の化石燃料輸入総額が2.5兆円減、CO排出量が9800万トン―CO減、エネルギー自給率が9.0ポイント改善などと、経済・エネルギー需給の安定、環境負荷低減に対する効果があげられており、今後、再稼働への手続きが遅滞なく進むよう、厳格性を堅持しつつ、これまでの経験を活かした効率的な審査が期待されるものとしている。


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