英政府、廃棄物の長期管理政策で白書 サイト選定プロセスを改定

英エネルギー気候変動省(DECC)は24日、英国内の高レベル放射性廃棄物(HLW)を深地層で長期的に管理する政策枠組を設定した白書を公表した。深地層処分場(GDF)のサイト選定プロセスについて昨年実施したパブリック・コメントの結果を踏まえ、2008年版白書のサイト選定プロセスを改定したもので、適性のある地層の予備選別など、先行実施するいくつかの活動も設定。処分場の受入に関心を持つ地域社会との正式協議は、これらの結果がまとまる2016年まで行わないなどとしており、国民の意思を十分に尊重しつつ進めていく方針だ。

英国ではカンブリア州のコープランドとアラデールの2都市が08年と09年にGDF受入への関心を表明していたが、州議会の反対によりサイト選定プロセスは13年1月、振り出しに戻った。政府は低炭素でクリーンな原子力発電設備の新設を支援するには、既存のHLWやこれらから出る使用済み燃料を長期的かつ安全に処分する施設の確保が重要と認識。昨年9月から12月まで新たなサイト選定プロセスに関するパブリック・コメントを実施しており、そこで聴取したメッセージと08年版の既存の選定プロセスから学んだ教訓を改定版白書に反映させたとしている。

白書はまず、潜在的なサイト特定に際し、同プロセスへの参加意志を持つ地域社会との協働アプローチが望ましいと政府が考えている点を強調。GDFの建設と操業により、地域社会には長期的な雇用やインフラ投資、政府からの追加投資といった大きな経済的恩恵がもたらされるとした。

次に、地層処分の将来的な実施に向けた政策枠組として次の点を明記。(1)既知の地層情報に基づいて地層の国家的な予備選別を先行プロセスとして実施する。同プロセスを主導する政府と担当事業者の「放射性廃棄物管理会社(RWM)」が選別ガイダンス案を作成し、実際に適用する前に独立の立場の審査パネルがこれを評価する。

(2)イングランド地方でのGDF開発を08年計画法における国家重要インフラ計画の中に法的に定義づける。これにより、パブリック・コメントが意志決定過程で不可欠の適切なプロセスとなる。

(3)地域社会と協働していく際の詳細な手続きを策定する。例えば、サイト選定プロセスへの参加やGDF受入を決めた地域社会への投資時期や投資方法を決める手続きなど、高いレベルの投資情報を提供する。また、サイト選定プロセスにおける重要な技術的課題について、地域社会と政府およびRWMが独立の立場の第三者に自由に意見を求められるメカニズムを構築する――などだ。

こうした活動の完了は16年頃になる見通しで、最終的な詳細政策もその頃完成。RWMが受入に関心のある地域社会と正式に協議を開始するのはその後になる。このように新しいプロセスでは、地域社会が参加を要請される前の一層早い段階で十分な情報提供を受けられるよう改善するのが主眼。地層や開発影響、地域社会への投資といった課題を一層明確にすることにより、地域社会が自信を持って国の重要インフラ計画のプロセスに参加することが可能になるとしている。


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