米大統領が候補者指名 規制委員の空席2名分

米ホワイトハウスは23日、B.オバマ大統領が米原子力規制委員会(NRC)の委員候補として、NRCの元法務顧問で現在、経済協力開発機構・原子力機関(OECD/NEA)事務局の法務部門長を務めるスティーブン G.バーンズ氏、および議会下院・エネルギー商業対策委員会のジェフリー M.バラン民主党エネルギー環境局長を指名したと発表した。

バーンズ氏は、今年6月末に任期が満了したG.アポストラキス委員の後任候補。バラン氏は、NEA事務局長就任のために8月31日付けでNRCを去ると表明したW.マグウッド現委員の残余任期2015年6月末までを務める委員候補となる。

上院の承認をもって正式就任となるが、8月4日から約1か月間の休会に入るためマグウッド委員辞職前の審査と承認は難しく、両候補が承認されるまで委員5名中、2名分が空席になるとの見方が有力だ。

産業界は懸念を表明

これらの指名について米原子力エネルギー協会(NEI)は、「候補者達が委員に必要とされる専門的知見と経験、および職員数約4000名の組織を効率的かつ確実に牽引できる同僚性を備えた人物であることが実証されねばならない」との懸念を発表している。

NEIのM.ファーテル理事長兼CEOはまず、バーンズ氏がNRCに在籍していた33年間に肯定的な評価を数多く受け、再三にわたり昇進した事実に言及した。しかし、同氏が法務顧問だった時期にNRCで取られたいくつかの対応には原子力産業界としていささか懸念を禁じ得ないと言明。すなわち、福島第一原発事故後の数週間に当時のヤツコNRC委員長が緊急時権限を行使したことと、ユッカマウンテン最終処分場計画の建設許可申請審査手続きを終了する判断を下したことを挙げた。

同理事長によると、産業界はこの審査手続きの終了決定を覆した連邦裁判所の裁定を支持。委員長の緊急時権限も、その他の委員達がNRCの意志決定に参加出来ない、などの極めて稀な状況においてのみ行使されるべきだと認識している。

同理事長はまた、バラン氏については詳しく調査すべきだと指摘。同氏はエネルギー環境問題で政策経験があるとされているが、原子力技術やNRCの規制手続と政策に関する経歴がほとんどなく、上院の承認手続きのなかでこれらに対する同氏の見解を聴取したいとの希望を示した。


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