韓国の朴大統領が設立を提案 日中韓で安全協議機関を

韓国の朴槿恵大統領(=写真)は15日、日本による植民地統治からの独立を祝う光復節で演説を行い、韓国および日本と中国の3か国を中心に、北東アジア地域における原子力安全を一層強化する協議機関の創設を提案した。2012年の夏以降とみに悪化した日韓関係を背景に、両国間のその他の問題に関する日本政府への非難も控え目に表現するなど、日本を含めた同地域の諸国と関係改善を図る一方策とする意図があると見られている。

朴大統領はまず、北東アジア地域で原子力発電所の数が増加し、同地域住民に対する原子力安全上の脅威も深刻化しつつあると指摘した。その上で、欧州の多国間で石炭や鉄鋼業界の協力枠組に続き欧州原子力共同体(EURATOM)が設立された例に言及し、北東アジア地域でも同様の原子力安全協議機関を作るべきとの考えを提示。安全性の改善努力を牽引する域内3か国に加え、米国、ロシアのみならず北朝鮮やモンゴルも参加可能であるとした。

同大統領はまた、災害対策や地球温暖化防止、麻薬売買など同地域におけるその他の様々な問題についても地域協力を拡大する必要性を強調。恒久的な平和と繁栄のための基盤作りに努力すべきだと訴えており、この「北東アジア平和協力イニシアチブ」に近隣諸国が積極的に参加してくれることを期待すると述べた。

福島第一原発事故を受けて日本の商業炉48基は依然として停止中だが、韓国では23基の原子炉で総発電電力量の27.6%を供給。昨年着工した新ハヌル(新蔚珍)2号機を始めとする5基が建設中、さらに4基の建設が計画されている。また、中国では今年に入って3基の原子炉が相次いで営業運転を開始。稼働中原子炉が20基に達したほか、建設中原子炉基数も28基と世界最多となっている。


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