溶融塩炉の研究開発加速 米ファンドが200万ドル投資

米国で溶融塩炉開発を進めているトランスアトミック・パワー(TAP)社の5日付け発表によると、サンフランシスコを拠点とする大手投資企業ファウンダーズ・ファンド社が傘下のFFサイエンス社を通じて、この研究開発に200万ドルを投資した。

この支援金を使ってTAP社は溶融塩炉に関する卓上試験や、設計とコンピューター・モデルの改良を行う予定。同社の設計であれば、既存炉からの長寿命放射性廃棄物を大量に燃焼出来る上、安全性とコストの改善が可能だとしている。まだ幼苗段階にある研究開発だが、ハイリターンを狙ってアグレッシブな投資を展開するファンドの判断なだけに、溶融塩炉の将来性に対する期待が高まっている。

TAP社によると、米国における溶融塩炉開発は1950年代からオークリッジ国立研究所(ORNL)を中心に始まっていたが、海軍で使用していた原子炉や初期の商業炉が軽水炉であったことから、その延長で軽水炉開発が進展していった。しかし、2002年になると「第4世代炉開発国際フォーラム(GIF)」が、国際共同研究開発の模索され得る第4世代炉コンセプト6種の1つに溶融塩炉を選択していた。

TAP社の溶融塩炉はこれまで研究されてきたものと異なり、燃料としてトリウムではなくウラン、あるいは使用済み燃料を燃やす。これと混合する溶融塩にはフッ化リチウム、減速材には水素化ジルコニウムを使用。最大96%という高い燃焼度で数十年間稼働できるほか、ゆっくりと使用済み燃料中のアクチニドを燃焼するため、高速炉と比べて放射線による深刻なダメージを回避することが可能だと強調している。


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