敷地外に中間貯蔵施設を着工 ウクライナの使用済み燃料

ウクライナ国営原子力発電会社のエネルゴアトム社は8月26日、国内で稼働する四つの原子力発電所のうち、3つから出る使用済み燃料を敷地外で集中的に中間貯蔵する施設(CSFSF)の建設を本格的に開始した。操業開始時に必要な総合設備の完成は2017年末を予定している。

起工式には同社総裁、および建設作業を請け負った米国籍のホルテック・インターナショナル社社長に加え、同国エネルギー・石炭産業省の副大臣も出席した。総発電電力量の5割近くを原子力で賄う同国にとって、使用済み燃料を長期的に安全な状態で適切に貯蔵する施設の確保はエネルギー戦略上の優先事項。放射性廃棄物管理における国家インフラの主要な柱であるとともに、エネルギー供給の自立強化をも意味するとしている。

ウクライナでは現在、ロシア製の4原発から出る使用済み燃料の約半分を再処理、貯蔵のためロシアに搬出。ザポロジエ原発では01年から敷地内で乾式中間貯蔵施設が供用開始されていることから、CSFSFは残りのロブノ、南ウクライナ、フメルニツキの3原発用ということになる。

エネルゴアトム社はCSFSFの建設・運転コストをこうした輸送経費の4分の1以下と見積もっており、同施設の操業により投資額は4年以内に回収できると予測。操業開始用総合設備の建設費だけで約12億3000万フリブニャ(約100億円)になるとした。

建設サイトはチェルノブイリ原発の南東、立入禁止区域内の再定住化された4つの村にまたがっており、総面積は18ヘクタール。乾式貯蔵方式であるため地下水への影響はなく、専門の設計研究所の試算でも環境影響は国の基準を十分下回る許容レベルだったという。

使用済み燃料は希ガスを充填した二重構造のステンレス製キャニスターに封入した上でコンクリート製のモジュール・システム内に配置。貯蔵期間中の物理的防護や放射線の遮へい、受動的な熱除去が確保されるとしている。貯蔵容量は100万kW級、および44万kWのロシア型PWRからの使用済み燃料合わせて1万6530体になる計画だ。

ホルテック社とエネルゴアトム社がCSFSFの建設契約を交わしたのは2005年のことだが、立入禁止区域内の用地割当に関する決議の欠落など法的不備により着工が遅延。両社は今年6月、修正契約に調印していた。


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