国際情勢背景に高支持率 ポーランドの原子力意識調査

ポーランド国際問題研究所(PISM)は8月25日、ポーランド国民のエネルギー・セキュリティと原子力に対する意識調査結果を公表した。

福島第一原発事故後に低下した原発導入計画に対する支持者の割合が最近のウクライナ危機を背景に64%まで改善されたとする一方、こうした状況が沈静化した後の高支持率は保証できないと指摘。経済面での効果など原子力発電に関する一層広範な問題について国民の間で議論を尽くす必要があると警告している。

PISMによると、ウクライナ東部でエスカレート中の紛争はポーランド社会に強い衝撃を与えており、軍事的、経済的な安定が脅かされるという恐怖は同国民の間でますます顕在化。エネルギー・セキュリティの観点では、石油と天然ガスの輸入をロシアに過度に依存していることもあり、再生可能エネルギー生産と原子力設備に対する投資が重要度を増した。原子力の導入はエネルギーの自給に向けたステップと認識されており、国民世論のシフトは同国民の原子力への認識がいかに強く国際情勢に左右されるか示していると指摘した。

調査結果では、国民の3分の2に当たる64%が原発建設計画を支持しており、この傾向は大都市に居住する高学歴・高所得の若者の間で最も顕著。支持の理由としてはポーランドのエネルギー供給自立への役割が最も多く(57%)、次に雇用の創出といった経済効果(42%)、技術の進展(26%)、建設計画へのポーランド企業の参加(24%)が続く。支持者の中の約3分の2(63%)は、たとえ近隣諸国からの低価格なエネルギー購入で国内需要を満たせたとしても、国内での原子力設備への投資を支援したいとしている。

また、原子力発電に対する不安感は徐々に縮減しており、71%が「エネルギーを得る魅力的で信頼性のある方法」と回答。64%が国境近くに立地する隣国の原発についても、周辺住民の健康や環境およびセキュリティ上の危険はないと答えている。

国内での原発建設に起因する潜在的な脅威としては、最も多くの回答者が技術的不具合や放射性廃棄物管理上のミスを挙げており、ポーランド国民の過半数(52%)が環境保護団体の建設反対運動を支持しないと答えたことは特筆に値すると分析している。


お問い合わせは、政策・コミュニケーション部(03-6812-7103)まで