「原発ゼロ」影響深刻 RITE 地域別・産業別に調査

地球環境産業技術研究機構(RITE)は2日、原子力発電所が再稼働しない場合を想定した電気料金値上げによる製造業への影響を、都道府県別、産業別に分析した調査結果を発表した。

これは、工業統計を利用し、8月現在の電気料金値上げ幅をもとに、各製造業への影響を分析した上、さらに今後、原子力発電の再稼働がない場合の電気料金値上げ幅を、低位・高位のシナリオで想定し、各産業従業員1人当たりの年間電気代増分額を推計して、産業別・地域別の影響分析を実施した。電気料金(自由化部門)の原子力ゼロ想定時の推計値上げ幅は、震災前との比で、北海道電力が26.34%〜39.86%、東北電力が17.17%〜18.30%、東京電力が20.24%〜22.71%、中部電力9.51%〜10.23%、関西電力が31.16%〜37.26%、四国電力が25.67%〜35.43%、九州電力で29.61%〜40.26%となっている。

調査結果によると、震災以降、既に実施された電気料金値上げによる電気代増分額は、全国平均で年間1人当たり約5.2万円、製造業全体の約9万4000人分の給与額に相当し、さらに、このまま原子力ゼロとなることを想定した場合は、全国平均で年間1人当たり約8.2〜9.8万円、製造業全体では約14.8〜17.6万人の給与相当にまで拡大するとして、一層深刻な影響を予想している。

また、産業部門別では、鉄鋼業、化学工業、窯業・土石業などが、電気料金値上げによる影響が非常に大きいとしており、圧縮ガス・液化ガス製造業では、従業員1人あたりの年間電気代増分額が約348〜418万円に上ると推計している。

さらに、地域別では、北海道、関西、四国、九州が、関東や中部に比べて電気代増分額が大きく、特に、和歌山県、大分県、千葉県、滋賀県、北海道では、深刻な影響が予想されるとしたほか、地域間格差もより拡大する可能性があるなどとみている。


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