対印ウラン輸出が可能に 豪州がインドと原子力協定

豪州政府は5日、インドと二国間の民生用原子力協力協定を締結した。インドを公式訪問していた豪州のT.アボット首相とインドのN.モディ首相が両国間の戦略的連携強化を謳った共同声明のなかで明らかにしたもので、今後、早急に実施取り決めの交渉に入る。2050年までに原子力による発電シェアを40%まで拡大することを目指すインドに対し、ウラン埋蔵量で世界最大という豪州が長期的に安定したウラン供給を実現する法的な枠組が整ったことになる。

豪州はこれまで、核拡散上の懸念から核不拡散(NPT)条約に未加盟のインドに対するウラン輸出を禁じてきた。しかし、インドを特例扱いとして原子炉や核燃料の輸出規制を解除するという米国の提案を、原子力供給国グループ(NSG)が08年9月に承認。同年10月に米国がインドとの原子力協力協定に調印して以降、インドとの原子力貿易は国際社会において事実上解禁された形だ。

特に、1960年代にインドに提供した重水減速研究炉が核兵器の製造に利用されたカナダでさえ、10年にインドと二国間の原子力平和利用協力協定を締結。ウラン燃料の輸出に道筋を付けており、豪州としても最早、インドへのウラン輸出がもたらす経済的恩恵を無視できないとの判断が背景にある。今回調印された原子力協定は、豪州のJ.ギラード前首相が12年にインドのシン首相(当時)と締結に向けた交渉開始で合意していた。


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