【経産相文書の全文】

日頃から、エネルギー政策、原子力政策の推進に当たって、貴職には、特段のご理解とご協力を賜り、心から感謝いたします。

原子力政策の推進に当たっては、東京電力福島第一原子力発電所事故を片時も忘れてはなりません。事故を真摯に反省し、被災された方々の心の痛みに誠実に向き合い、廃炉・汚染水対策と福島の復興・再生に全力で取り組んでまいります。

その上で、これを出発点に、いかなる事情よりも安全性をすべてに優先させ、国民の皆様の懸念の解消にしっかり取り組みながら、原子力規制委員会によって安全性が確認された原子力発電所の再稼働を進めてまいります。

ご承知の通り、九州電力川内原子力発電所については、平成26年9月10日、原子力規制委員会によって、新規制基準に適合すると認められ、原子炉設置変更許可が行われました。これにより、再稼働に求められる安全性が確保されることが確認されました。

これを受けて、政府として、下記の方針に従って、川内原子力発電所の再稼働を進めていきたいと考えております。

東京電力福島第一原子力発電所事故を受けて、今なお、国民の皆様の中に原子力発電所の再稼働について不安の声があることは承知しています。こうした現状から決して逃げるのではなく、正面から向き合い、立地自治体等関係者の皆様を始め、国民の皆様の理解や納得が得られるよう、丁寧に説明を尽くしてまいります。また、万が一事故が起きた場合には、政府は、関係法令に基づき、責任を持って対処いたします。

安全性の確保を大前提に、低廉かつ環境負荷の少ないエネルギー・電力の安定供給が国民経済の健全な発展にとって重要であり、その意味で、安全性が確認された原子力発電所の再稼働は、国民の皆様の日々の暮らしや日本経済の活力にとって重要であると考えております。今般の川内原子力発電所の再稼働を進める政府の方針について、ご理解を賜るようお願い申し上げます。

1.原子力については、エネルギー基本計画(平成26年4月11日閣議決定)において、安全性の確保を大前提に、エネルギー需給構造の安定性に寄与する重要なベースロード電源であると位置付けるとともに、原子力規制委員会により世界で最も厳しい水準の規制基準(新規制基準)に適合すると認められた場合には、その判断を尊重し原子力発電所の再稼働を進めることとしている。

2.川内原子力発電所については、原子力利用における安全の確保を図ることを任務とする、独立した原子力規制委員会によって、新規制基準に適合すると認められ、原子炉設置変更許可が行われた。これにより、川内原子力発電所については、再稼働に求められる安全性が確保されることが確認された。したがって、政府として、エネルギー基本計画に基づき、川内原子力発電所の再稼働を進めることとする。

3.このような政府の方針について、エネルギー基本計画に基づき、政府として、立地自治体等関係者の理解と協力を得るように取り組むこととし、新規制基準への適合審査の結果や、エネルギー政策・原子力政策の内容、原子力災害対策の内容などを丁寧に説明していく。

4.また、避難計画を含む地域防災計画について、政府として、計画の更なる充実のための支援やその内容の確認を行うとともに、計画の改善強化に継続して取り組む。

5.実際の再稼働は、今後、原子力規制委員会によって、工事計画認可など所要の法令上の手続きが進められた上で行われる。さらに、再稼働後についても、政府は、関係法令に基づき、責任をもって対処する。


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