米規制委 バーンズ氏とバラン氏 議会上院が委員として承認

米国議会上院は16日、米原子力規制委員会(NRC)の委員としてB.オバマ大統領が7月に指名していたS.バーンズ候補を56対44で、J.バラン候補を60対40で承認した。投票結果には両氏の承認に反対していた共和党と与党・民主党の党派争いが明確に表れた形。原子力産業界も両氏の委員としての資質に懐疑的であり、今後の原子力規制の方向性が注目される。

NRCの元法務顧問だったバーンズ氏は経済協力開発機構・原子力機関(OECD/NEA)事務局の法務部門長で、今年6月にNRC委員としての任期が満了したG.アポストラキス氏の後任。民主党エネルギー環境局長のバラン氏は議会下院・エネルギー商業対策委員会の委員でもあり、8月末でNRCを去ったW.マグウッド氏の残余任期を務める。

上院では本会議の票決に先立ち11日に環境・公共事業委員会が両候補の承認について票決を行ったが、両候補の承認に賛成したのは同委の民主党議員全員と共和党議員1名。反対票を投じた委員はすべて、共和党議員だった。

米原子力エネルギー協会(NEI)によると、共和党議員は9日の指名承認公聴会でも両候補者について、「前任の2人とはかけ離れた経歴を持つ法律家だ」と評価。原子力関連の科学と工学で広範な経験と専門的知見を有していたアポストラキス前委員をオバマ大統領が再指名しなかったとして非難するとともに、NRCのA.マクファーレン委員長が地質学者であること、W.オステンドルフ委員はシステム・エンジニア、K.スビニッキ委員が原子力エンジニアである事実に言及していた。

今回の指名承認結果を受けてNEIは、科学的・工学的側面に焦点を当てていたNRCが、それらから遠のく方向に動かされていく可能性への懸念を表明している。


お問い合わせは、政策・コミュニケーション部(03-6812-7103)まで