「暫定保管」など社会合意を 学術会議 高レベル廃棄物で報告書

日本学術会議の検討委員会は9月25日、高レベル放射性廃棄物処分に関し、同会議が12年9月に原子力委員会からの依頼に応じて回答した「総量管理」と「暫定保管」の具体化に際し、社会的合意形成に向け解決すべき諸課題についてまとめた報告書を公表した。

学術会議が原子力委員会に対し提示した回答では、高レベル放射性廃棄物が無制限に増大することを防ぐよう発生総量の上限をあらかじめ決定すること(総量管理)、科学的に優れた対処方策を取り入れることが可能となるよう数十〜数百年間は暫定的に保管すること(暫定保管)があげられている。

今回、取りまとめられた報告書では、この「総量管理」と「暫定保管」の方向性を具体的に実施していくために、(1)適切な「暫定保管施設の数」を「事業者の発生責任」「負担の公平」の視点から考える(2)適切な「暫定保管の期間」を考える(3)「科学の限界の自覚」を踏まえた専門委員会の自律性と社会的信頼を確保する(4)「世代間の公平」と「現世代の責任」を踏まえ新規発生分に対処する――必要を述べた上で、今後の取組における重点を指摘した。

「総量管理」の具体的あり方については、エネルギー政策における原子力利用の将来像と密接に関係することから、依存度低減のテンポなどについても、国民的合意を形成する必要があるとしている。

「暫定保管」については、「安全性最優先の原則」、「事業者の発生責任の原則」、「多層的な地域間の負担の公平性の原則」に基づき、各電力会社配電圏域内での建設を、社会的協議の出発点とすることを、大枠とすべきとしている。

さらに、保管の期間については、社会的側面から、一世代に相当する30年を1つの期間として、より長期の政策選択を判断すべきとしている。

また、政策選択肢を広げ、社会的合意形成を促進するために、中立公正な進行役となる「高レベル放射性廃棄物問題総合政策委員会」の設置についても提言している。

なお、これと同時に、学術会議は「暫定保管」の技術的検討に関する報告書も公表した。


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