英政府 原子力人材の育成支援

英国・ビジネス・イノベーション職業技能省(BIS)のV.ケーブル大臣は9月23日、南東部のダンジネス原子力発電所を視察したのに合わせ、次世代の原子力技術者やエンジニアの育成を支援するために800万ポンド(約14億円)を拠出するとの方針を発表した。

英国では2030年までに1600万kWの原子力設備を建設する計画が進展中であることから、原子力分野の技能開発を目指した「原子力産業パートナーシップ(NIP)」の一環として、数百もの新たな実習・訓練プログラムを創設する計画だ。NIPはマグノックス社が原子力産業界を代表して15日から正式に開始した企業主導型の技能開発協力で、将来的な労働力への投資に企業が活用できるよう政府が開設した入札基金の下で設置されたもの。800万ポンドのうち半分は企業側の現金拠出や現物出資で賄うことになる。

この支援はまた、英国が民生用原子力利用において世界で主導的な立場を構築するまでの方向性を示した「原子力産業戦略」に基づいて進められる。同戦略は昨年3月に政府が産業界と協力して作成しており、今後20年間に約9300億ポンドが世界の原子力関連事業に投入されると予測。英国がこうした投資の恩恵に浴せるよう保証することを狙いとしており、原子炉の新設計画だけで4万人分の新規雇用が英国内で創出されると見込んでいた。

具体的な実習・訓練プログラムは以下のものが含まれる。すなわち、(1)原子力供給チェーン企業用の270名分と電気・計装制御関係の50名分を合計した320名分の実習生プログラム(2)16才から19才までを対象とする100名用の訓練生プログラム(3)2年間の工学課程を修了した学部生対象の8〜10週間のサマースクール60か所(4)約10年の学校教育修了者に土木建築関係産業の実情を説明する2日間の科学技術教育ワークショップ720回――など。

ケーブル大臣は「熟練した労働者が原子力部門にもっと必要だと産業界から要請されたので、口先だけでなく行動で証明することにした」とコメント。これも英国経済を再調整し、英国中で雇用を生み出すという職務の一環だと強調している。


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