動き出す英国の新規建設 現実見据え着実に推進 政府の支援措置など奏功

英国の原子力発電所の新規建設が新たな局面を迎えた。3面所報の通り、欧州委員会(EC)は8日、EDFエナジー社のヒンクリーポイントC(HPC)原子力発電所建設計画に対する英国政府の財政支援策はEU競争法の国家援助規則に適合するとの判断を下した。英国で20数年ぶりとなる新設計画が実現にむけて大きく前進することになった。

先月、世界的に注目されたスコットランド独立問題は、残留という現実的選択が住民投票の結果示されることになった。独立派が拠り所の1つとした北海油田は枯渇という将来不安がぬぐえなかったといわれる。

英国は石炭などの化石燃料に恵まれ、産業革命の起点となった歴史がある。しかし近年にいたって、やはり化石燃料は将来的に枯渇するという現実、また地球温暖化問題に取り組む必要性を見据え、原子力発電の選択肢を捨てることはなかった。

一時、脱原子力に傾いたブレア政権が原子力推進に舵を切ったのは2008年のこと。以来、政府は社会対話を進める一方、原子力発電の建設にむけた財政的な支援措置等を着実に進めてきた。世論は、福島第一の事故時に一時慎重な意見が増加したものの現在は原子力発電に対し賛成が反対を上回り、世論の大半は冷静だ。

新規建設計画は、仏EDFの子会社であるEDFエナジーがヒンクリーポイントC地点およびサイズウェルC地点で各2基を計画するもので、今回ヒンクリーポイントCの計画に大きな進展がみられた。また日立GE傘下のホライズン社がウィルファとオールドベリーB地点で2基ずつABWRを建設する計画。また東芝が出資するNuGen社がムーアサイド発電所として3基のAP1000を建設する計画だ。

曲折をたどりながらも原子力発電を現実的な選択として推進する同国の取組みから日本が学べることは少なくない。


お問い合わせは、政策・コミュニケーション部(03-6812-7103)まで