仏議会、エネ移行法案可決 原子力シェア、25年に50%へ

エネルギー移行法案について審議していた仏国の国民議会(下院)は10日、総発電電力量に占める原子力発電のシェアを現在の75%から2025年までに50%に削減する条項を盛り込んだ1章から8章までの部分を可決した。法案全体の票決を経て、来年にも承認されるとみられている。

F.オランド大統領が公約した原子力シェアの削減も含め将来のエネルギー政策の方向性を定めるため、仏国では2012年から約2年間かけてエネルギー源の移行に関する全国討論を実施。その結果、エコロジー・持続可能開発・エネルギー省のS.ロワイヤル大臣は今年6月、(1)原子力の設備容量を現状レベルの6320万kWに制限する(2)30年までに温室効果ガスの排出量を90年比で40%削減する(3)30年までに再生可能エネルギーの発電シェアを40%に引き上げる(4)国の最終エネルギー消費量を50年までに半減する――などの中長期的目標を盛り込んだ仏国の新たなエネルギー・モデルを法案として提案していた。

オランド大統領は12年の当選当時、16年までに閉鎖する原発として最も古いフェッセンハイム原発のPWR2基(各92万kW)を特定していたが、同法案では、閉鎖設備は事業者の仏電力(EDF)が特定すると明記。設備容量の上限が設定されたことから、同国初の欧州加圧水型炉(EPR)として建設中のフラマンビル3号機(163万kW)が完成する頃には同程度の出力の発電所を閉鎖せざるを得ない状況だ。

審議の過程では、フェッセンハイム原発を技術的な問題以外で早期閉鎖させた場合、政府が支払う費用はEDFへの補償費を含め50億ユーロにのぼるとの報告書が公表されたと伝えられている。


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