米規制委、ユッカ山計画の安全性評価 科学技術的に「適地」

米原子力規制委員会(NRC)のスタッフは16日、ネバダ州ユッカマウンテンにおける使用済み燃料と高レベル放射性廃棄物の深地層処分場の建設許可手続きで、安全評価報告書(SER)の第3巻を発行した。

昨年8月に連邦巡回控訴裁から残余予算の範囲内で審査を再開するよう指示されたのを受けたもので、同計画の安全性を認める内容。残りの3巻が完成し、NRC委員が規制上の判断を下したとしても処分場計画の復活に直結するわけではないが、サイトとしての適性が科学技術的に証明されたとして共和党の賛成派議員や産業界は「状況を一変させる強力な追い風」と受け止めている。

SERの第3巻は処分場を永久封鎖した後の期間を安全性評価の対象としており、NRCが建設計画の是非を技術的に判断する上で中心的な部分だ。処分場設計は放射能を環境から隔離する多重バリアを備えるなど、同期間に適用される安全要件を満たしているとNRCスタッフは明言。人の介入や個人毎の防護、地下水の保全等に関するNRCの制限や基準にも準拠していると結論付けた。

米エネルギー省(DOE)は2008年6月に同処分場の建設許可申請をNRCに提出。全5巻組となるSERのうち総合的な情報を網羅した第1巻が10年8月に発行されたものの、政府が審査の打ち切りを決めたため、規制上の結論を含まない非公式の技術評価文書が3点発行されたに留まっている。

NRCスタッフは今後、処分場の永久封鎖前の安全性に関する第2巻、行政上、プログラム上の要件に関する第4巻、認可の詳細に関する第5巻の評価文書を来年1月までに発行する予定。同計画が最終的に建設を認可されるとしたら、現在の残余予算よりはるかに多額の予算を得た上でSERを完成し、環境庁による環境影響声明書の補足文書発行、その他の様々な手続きが必要になると言明した。


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