「はかるくん」が好評 IAEA 中等教育プログラムで会議

IAEA中等科学教育試験プログラム策定会議が10月14日〜17日、IAEA本部で開催された(=写真)。「アジア/太平洋地域における持続性と国立原子力研究機関のネットワーク化の支援活動(12年〜15年)」の一環として位置づけられているプロジェクトだ。

昨年に引き続き、IAEAより、飯本武志・東京大学環境安全本部准教授にこの会議への出席要請があった。他に、この分野の専門家として豪州、英国、米国、教育プログラムを試験的に導入するパイロット国としてインドネシア、フィリピン、マレーシア、アラブ首長国連邦(UAE)、オブザーバーとして韓国、事務局としてIAEAの担当者が参加。

原子力分野の長期的な視野での人材育成を目的とし、魅力のある中高校生向科学教育プログラムを提示することがこの活動の最終目的だ。日本の産官学連携による原子力人材育成ネットワークでは、初等中等教育支援ならびに海外人材育成支援の立場からこのプロジェクトを支援している。

今回の会議では、これまでに収集された加盟各国のSTEM(科学、技術、工学、数学)/NST(原子力科学技術)教育実施事例を参考にして、パイロット国が自国の事情に見合った教育パッケージを策定することがミッションとなった。

今後、このパッケージを各国が試験適用し、来年10月末までに結果をIAEAに報告する。

パイロット各国の教育省にあたる参加者が議論を牽引し、原子力分野の参加者が、支援に周る構図は、今までのNST教育に関するアプローチとは大分異なる印象であったと会議に参加した飯本氏は伝えている。教育の対象は中高生にとどまらず、若く優秀で意識の高い教員を養成することも持続性の観点から重要との合意から、各国は教員セミナーなどの充実にも注力することになった。

ここにおいて、わが国の簡易放射線測定器「はかるくん」、霧箱セット、英訳された放射線副読本や教育動画集はツールとして大変に人気が高く、パイロット国の四か国すべてがその試験導入を決めた。総合的に日本の存在感を示すことができた部分だ。パイロット各国からの強い要請により、今後日本人専門家が各国の教育現場に公式に派遣されることが決まった。また、各国の代表教員を相互に交換して、他国で授業をする試みも決まった。

活動の成果は来年12月末に報告書としてまとめられ、加盟各国に公表される予定だ。


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