ロシア 世界市場での競争力強化へ 原子力エンジニアリング企業を統合

ロシアの総合原子力企業ロスアトム社のS.キリエンコ総裁は22日、国際的な原子力市場におけるロシアの競争力を一層強化するため、傘下のエンジニアリング企業の専門的知見を1つに統合すると発表した。原子力輸出を国策に据えた東アジアの新たな勢力の台頭を牽制し、今後一層本腰を入れて数多くの原発建設プロジェクトを国外で受注していく考えだ。

同社は2012年、海外での原発建設請負企業であるアトムストロイエクスポルト(ASE)社と、エンジニアリング会社であるアトムエネルゴプロエクト(AEP)社のニジニ・ノブゴロド設計研究所(NIAEP)を合併させてNIAEP―ASE社を設立。今回はこのNIAEP―ASE社を親会社とし、モスクワ市内にあるAEP本社を下部組織に位置付けて、単一のエンジニアリング部門にするとした。

キリエンコ総裁はこの編成について「これら企業の設計品質を比較して決めたわけではなく、原発建設プロジェクトにおける最終製品である発電設備の重要性を反映させた」と強調。AEPの作業品質と専門家数は相当なものだが、管理システムの効率性ではNIAEP―AEPが勝るとの判断に基づくとした。

同総裁はまた、原子力発電産業が直面する課題として(1)コスト(2)建設期間――の2つを指摘。その上で、「これらに取り組むには効率的なエンジニアリング部門が必要」との認識を示した。中国や韓国がプロジェクト受注活動をかつて無いほど積極的に展開するなど、世界市場での競争が激しさを増していることから、「エンジニアリング部門の競争力増強以上に重要なものはない」と断言。子会社同士の内部競争を避ける迅速な統合を指示するとともに、それらが1つのプロフェッショナル・チームになることを明言している。


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