GHGを30年に40%削減 EU 気候変動対策枠組で合意

欧州連合(EU)加盟各国の元首・政府首脳で構成される欧州理事会は23日、2030年までに温室効果ガス(GHG)の排出量を少なくとも1990年レベルの40%減にすることなどを法的拘束力を備えた目標として盛り込んだ、EUとしての新たな気候・エネルギー政策の枠組を最終合意した。

昨年11月にワルシャワで開催された国連気候変動枠組条約・第19回締約国会議(COP19)での合意日程に基づき、遅くとも来年の第1四半期中にEUとしてこの目標を提出予定。来年末にパリで開催される会合(COP21)よりも前に、京都議定書に代わる2020年以降の世界的な気候変動枠組の締結を目指した意欲的な削減目標と政策を、時間的余裕をもって提示するようすべての国に求めていく考えだ。

この「2030年に向けた気候・エネルギー政策の枠組」は今年1月にEUの任務執行機関である欧州委員会(EC)が政策文書として提案し、これを3月に検討した政治指針決定機関の欧州理事会が、結論として原則を特定していた。

欧州の原子力ロビー団体であるフォーラトムはGHGの4割削減という排出目標が承認されたことを歓迎する一方で、EU全体のエネルギー消費に占める再生可能エネルギーの比率が30年までに少なくとも27%に引き上げられたことには「市場に歪みを生じさせ、すべての低炭素発電技術に公平な競争の場を生み出す事はできなくなる」と評価した。

また、EUの排出量取引制度(EU―ETS)で対象部門の年間排出上限を現在の1.7%から21年以降は2.2%に引き上げ、非対象部門でも30%の排出削減を求めるとした強化策には、原子力産業界として支援していきたいと明言。

先頃、ECが英国のヒンクリーポイントC計画を承認したように、GHGの排出削減目標の達成に貢献できる原子力への投資にもっと重きを置くべきだと訴えており、原子力が欧州における発電電力の27%、低炭素電力の53%を賄っている事実を強調した。


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