イランに最大8基新設へ ロシアがイランと議定書調印

ロシアの原子力総合企業ロスアトム社は11日、イランのブシェール原子力発電所(100万kWのロシア型PWR1基)に、II期工事として新たに2基を増設する契約を同国の事業者と結んだと発表した。

同時に、既存の政府間協力協定を補完するためにイラン原子力庁(AEOI)と締結した議定書には、ブシェール原発サイトにロシア型PWRをさらに2基、およびその他のサイトで4基をターン・キー契約で建設する協力の可能性を明記。これら8基で使用する核燃料はロシアが供給するとともに、使用済み燃料は再処理・貯蔵のために引き取るとするなど、両国の協力が平和利用分野である点を強調。国際社会が危惧する核兵器開発への転用疑惑を払拭する形となっている。

ブシェール原発は1974年に独シーメンス社が1号機の建設を開始したが、5年後のイラン革命により同社は撤退。92年8月にロシアとイラン両国政府が結んだ「イラン領土内における原子力発電所建設協力に関する政府間協定」に基づいて、アトムストロイエクスポルト(ASE)社が95年に完成工事計画を受注した。その後、1号機は2011年9月に送電を開始。2年間の試運転を経て、昨年9月に正式にイラン側に引き渡されるとともに営業運転の開始が宣言されていた。

同原発サイトでの後続原子炉増設は、1号機の完成以前からイラン側が切望していたもので、これまでに実施した交渉の結果、ロスアトム社傘下のNIAEP―ASE社が2基分の増設でイランの原子力発電開発会社(NPPD)と契約を締結するに至った。

ロスアトム社によると、同契約の法的枠組となった議定書では、新・増設計画の建設から運転、廃止措置に至るまでの全作業にイランの企業や機関を最大限参加させることを保証。機器や核燃料の供給を含めた建設プロジェクト全体がブシェール1号機と同様、国際原子力機関の保障措置下に置かれるほか、核不拡散体制の要件を全面的に満たすとした。また、核燃料の供給と使用済み燃料の引き取りに加えて、ロシア側は新設原発の運転やサービス、関連エンジニアリング支援、放射線安全規制に必要なイラン人専門家の養成も手がけることになる。


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