東芝出資の英ムーアサイド計画 政府の債務保証適用へ

東芝が出資する英国NuGen社は2日、西カンブリア地方で計画しているムーアサイド原子力発電所建設プロジェクトに政府の債務保証スキームを適用する方向で財務省と協力する合意文書に調印したと発表した。巨額の初期投資を必要とする原発新設計画にとっては、発電電力の固定価格買い取り制度とともに重要な財政支援制度。ムーアサイド計画ではどのような形で外部資金調達が可能になるか、今後両者が共同で見極めていくことになる。

この債務保証スキームは英国内で投資を必要とする大型社会インフラ案件の推進を支援するために財務省が2012年に制定したもので、民間部門の投資を促進するのが目的。日立製作所が出資するホライズン社のウィルファ原子力発電所建設計画でも昨年12月、適用の検討で同社と財務省が合意している。

ムーアサイド計画では今年6月に東芝がNuGen社の筆頭株主となり、2024年の初号機完成を皮切りに、3基・340万kW分のウェスチングハウス(WH)社製AP1000を26年までに順次稼働させる予定。最終投資判断(FID)を18年に下すのに先立ち、必要となる許認可を全面的に取得する方針だ。

今回の合意について財務省のG.オズボーン大臣は、新世代の民生用原発への投資は今後数10年間に必要な電力を英国にもたらす長期的経済計画の一環だと説明。差金決済取引(CfD)を盛り込んだ電力市場改革や包括的設計認証(GDA)プロセスなどを通じて、政府はすでに多くの支援を提供しているが、債務保証スキームは事業者の新設計画投資を助けるもう1つの方策になるはずだと強調した。


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