インドとロシアが原子力協力を強化 20年間にインドで最低12基新設

インドとロシア両国の政府は11日、「原子力平和利用分野における協力強化のための戦略的ビジョン」を公表した。既存の協力協定に基づいて今後20年間にロシアがインドのクダンクラム、およびその他のサイトで原子炉を少なくとも12基建設するなど、大規模な協力強化・拡大構想を明らかにしている。技術移転を通じて将来的にインド国内の業者から資機材調達し同国で燃料集合体製造を行うなど、核燃料サイクルと関連科学技術の協力強化を含めた意欲的な内容で、これらを実行に移す大臣級の調整委員会も年に1回開催する計画。90年代から続く友好関係を踏み台に、新たなレベルに到達した両国間の原子力協力は急速に加速度を増している。

この構想はロシアのV.プーチン大統領がインドで同国のN.モディ首相と会談し、軍事技術など様々な分野で合意した協力強化の一部分。序文ではまず、原子力平和利用分野でこれまでに調印された両国間の複数の協力協定に言及しており、これらに基づいてインドでロシア製のクダンクラム原発1号機が7月に定格出力に到達し、2号機の建設も進展していること、4月には3、4号機を増設する一般枠組協定(GFA)が発効したことなどに満足の意を表明した。

こうした実績の重要性を認識した上で、ロシアの原子力総合企業ロスアトム社とインド原子力省は今後の協力の戦略的指針として今回のビジョンを作成。「原子力発電」の項目では、クダンクラムでの増設と新たなサイトでの新設で合意した2008年協定に基づき、今後20年間に少なくとも12基のロシア製原子炉を建設する計画の迅速な実施を決定した。このため、インド側はクダンクラムに加えて新サイトを速やかに特定すると明記。建設にかかるコストと時間を最小化できるよう両者の専門的知見と資源を統合するとした。

また、将来的な協力継続のため、インドの供給業者に資機材を発注する範囲の拡大を促進。インド企業による主要機器とスペア機器の製造が可能となるよう技術移転を含めた合弁事業体を設立するが、これらの機器は第三国でロシアが原子炉を建設する際にも使われる可能性を持つことになる。さらに、完成原発の保守点検や修理、近代化、人材の再訓練などの協力に加えて、廃止措置に関する協力も長期的な視野に入れるとしている。

「核燃料サイクル」の項目では、08年と10年の協力協定に基づいて、完成原発に装荷する燃料集合体をインドで製造するために必要な準備作業を優先的に実施すると明記。使用済み燃料の管理施設を含めて放射性廃棄物管理でも協働していく枠組を策定する。

これらを実行に移す方策として、両国はインド原子力相とロスアトム社総裁を議長とする調整委員会の設置で合意。実行状況など両国協力全体を監督するため、年1回開催するほか、協力項目毎に3つの共同作業グループを置くとしている。


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