【年頭所感】日本経済を力強く 経済産業大臣 宮沢 洋一

平成27年の新たな年の訪れを謹んでお慶び申し上げます。

昨年末の衆議院選挙を経て発足した安倍第3次政権において経済産業大臣に再任されました。新年を迎えるにあたり、経済産業大臣として取り組むべき主要な課題と大きな方向性について、改めまして一言、申し上げます。

まず始めに、故郷の住み慣れた我が家に戻れないまま避難を続けられている12万人の福島の方々に寄り添い、福島復興に全力を尽くします。

昨年10月に経済産業大臣に就任して以来、地元の方々の声に耳を澄まし、その思いを胸に刻みながら、福島復興に取り組んでまいりました。今後も、避難指示の解除、生活基盤の再建と産業の復興、イノベーションコースト構想の具体化等を進めてまいります。

福島再生の大前提となる福島第一原発の廃炉・汚染水対策については、昨年12月に4号機の使用済燃料プールからの燃料取り出しが完了し、今年度末には凍土遮水壁の凍結作業が開始される予定です。引き続き、国も前面に立って、廃炉・汚染水対策を着実に進めていきます。

エネルギー政策については、安全性(Safety)、安定供給(Energy Security)、経済効率性(Economic Efficiency)、環境への適合(Environment)の「3E+S」の実現を基礎として、昨年4月に改訂した新たなエネルギー基本計画に基づき、政府として引き続き様々な取組を行っていきます。

特に、エネルギーミックスについては、現実的かつバランスの取れたエネルギー需給構造の将来像を示すべく、しっかりと検討を進めてまいります。

引き続き再生可能エネルギーの最大限かつ持続的な導入を進めてまいります。系統接続が保留されていた問題に関しては、昨年末、対応策を発表しました。これにより、早急な保留解除につなげるとともに、(1)太陽光に偏らないバランスの取れた導入と、(2)きめ細かな出力制御を通じた導入量の最大化の実現を図ります。

徹底した省エネルギーと再生可能エネルギーの最大限の導入を進めつつ、原発依存度を可能な限り低減します。

一方で、現状では、エネルギー基本計画において、原子力は重要なベースロード電源と位置づけています。原子力規制委員会によって新規制基準に適合すると認められた場合には、その判断を尊重し原発の再稼働を進めます。その際、国も前面に立ち、立地自治体等関係者の理解と協力を得られるよう、取り組んでまいります。

高レベル放射性廃棄物の最終処分については、処分地選定に向け、科学的有望地を示す等により、国民や地域の御理解をいただきながら、将来世代に先送りしないよう着実に進めてまいります。

また、低廉で安定的な電力供給を実現するために、本年の通常国会には、電力システム改革の総仕上げとなる第三弾の法案を提出します。本法案により、2018年から2020年を目処に法的分離による送配電部門の一層の中立化が実施され、送配電ネットワークを各事業者が公平に利用できるようになります。

電力システム改革と併せ、ガスシステム改革などエネルギー供給構造の一体改革を推進し、総合エネルギー企業創出の観点から、都市ガスの小売全面自由化や熱供給の料金規制の撤廃などの改革を進めていきます。

さらに、米国からのシェールガス・LNG輸入の実現や、昨今の国際情勢も踏まえた権益確保や供給源の多角化、LNG産消会議の開催等を通じた買主側のバーゲニングパワーの強化等、エネルギーコストの低減に向け、オールジャパンで取り組みます。製油所等の事業再編や石油サプライチェーンの強靱化等を通じ、石油の安定供給の確保にも引き続き取り組みます。

今年は、戦後70年の年にあたります。終戦後の焼け野原の中から、先人の方々が額に汗して働き、今日の日本経済を築き上げてきました。その日本経済をより一層力強く発展させ、国民の暮らしの豊かさに繋がるよう職員一同奮闘してまいります。一層の御理解と御支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。


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