エネ研が15年度需給見通し 最終エネ消費は増加見込む 9基運転も効果限定 再稼働の動向が大きく影響

日本エネルギー経済研究所は12月19日に2015年度の日本の経済・エネルギー需給見通しをまとめ、同年度は景気回復によりエネルギー国内供給は前年度比0.9%増、最終エネルギー消費も2014年度に減少したが15年度には景気回復により反転増加を見込んだ。

原油価格の急落など海外情勢の変動に対しては、「一喜一憂せず、安定成長を達成するためには、強靭なエネルギー需給構造の整備・構築が必要」と指摘している。国のエネルギー基本計画に重要なベースロード電源と位置付けられた原子力発電については、新規制基準への適合審査に要する時間をケース別に試算。「再稼働の動向が経済・環境・安全保障に大きく影響する」としている。

試算のなかで、再稼働の中位ケースは2014年度末までに2基が再稼働し、4月以降に3チームでの審査体制やこれまでの進捗状況等を勘案して2015年度中の再稼働は9基、平均稼働月数を6か月と想定。この場合でも発電量は2010年度の2か月分にも満たないため化石燃料輸入総額が1.9兆円増、二酸化炭素排出も45Mt増加するとした。

2015年度のマクロ経済については、2014年度が消費増税の影響で前年度比0.6%の縮小となったが、景気回復によって内需拡大の寄与で1.8%成長を見込んだ。

なお、家計のエネルギー負担は2014年度に初めて年間30万円を超え、消費支出の8.6%にまで上昇、2015年度は国際エネルギー価格の下落で29万円に下落とみるが、依然電気代上昇の家計負担が重くのしかかるとの見通しを示している。


お問い合わせは、政策・コミュニケーション部(03-6812-7103)まで