「海外市場での存在感を」 中国主席、原子力産業60周年で声明

中国の習近平国家主席は15日、同国が民生用原子力産業の開発に乗り出してから60周年を迎えた記念の式典で声明文を発表した。産業界全体のさらなる競争力改善を促すとともに、国内の原子力機器メーカーに対しては使用技術の絶対的な安全性を確保しつつ、世界の主要原子力企業となるべく海外市場でのプレゼンスを一層強化するよう指示している。

同国国務院は昨年11月、深刻な大気汚染問題を解決するという観点から、2020年までに大型PWRを中心に5800万kWの原子力設備開発を目標に掲げた戦略行動計画を発表。昨年末現在で、同国の商業用原子力発電設備は22基、2000万kWの大台に乗った。国外ではパキスタンへの輸出実績に加えて英国やルーマニア、トルコ、南アで新設計画への参加を目指すなど、海外展開も着実に進展。習主席は中国が原子力供給国として世界市場に本格的に参入していく決意を明確に示したと見られている。

声明の中で習主席は、中国の原子力産業を大きく成長させた数世代の原子力科学者による技術革新と労働者達の労をねぎらうとともに、原子力産業は先端の戦略的な産業であり、中国の国家存立の重要基盤だと明言。今後も原子力の平和利用と安全な開発、技術革新を続け、新たな時代を開くべきだと訴えた。

また、中国が独自の原子力産業を開発する方針を定めてから60年が経過したが、原子力の大規模な平和利用は同国の社会経済の発展に寄与するとともに国力全般を強化し、エネルギー供給保障を促進したと評価。また、国民の生活水準の向上に多大な貢献を果たしたと称賛している。


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