「次世代炉で建て替えを」 仏国:エネ相発言が物議

仏国エコロジー・持続可能開発・エネルギー省のS.ロワイヤル大臣による非公式発言が同国のエネルギー移行問題を巡って物議を醸している。

同国の業界誌である「Usine Nouvelle」の13日付号に掲載されたインタビューの中で同相は、「経年化した既存の原子炉をリプレースするために次世代型炉を新たに建設すべきだ」と発言。2025年までに現在の原子力発電シェアである75%を50%まで削減することを公約したオランド政権が初めて原子炉の新設を明確に認めたとして、地元メディアは大々的にこの発言を取り上げた。環境保護派も、政府が見解をシフトしたとして批判を強めている。

同国では昨年10月、同公約を果たす方策として原子力の設備容量を現状レベルの6320万kWに制限する条項を盛り込んだエネルギー移行法案を国民議会(下院)が承認。現在、上院が同法案を審議中だが、この法案骨子は昨年6月にロワイヤル・エネ相自身が内閣に提案していた。

同相はインタビューの中で、仏電力が既存炉の運転期間延長のために550億ユーロ相当の大規模改修を計画していることへの見解を求められ、「法案には運転期間に40年という制限を盛り込んでいないし、いくつかの原子炉では延長が可能だろう。既存炉の安全確保に投資することも必要だが、改修不能になった古い炉をリプレースするために次世代型原子炉の建設も計画していかねばならない」と回答。廃棄物管理などの問題はあっても、原子力は仏国にとってエネルギー供給保障をもたらす「資産」だと明言した。

ただし、この発言が議論を巻き起こした点については翌日の同誌で「エネルギー移行法案の主旨とは矛盾しない」と弁明。原子力が仏国のエネルギー・ミックス中に温存されても、発電シェアを25年までに50%に削減する方針に変更がないことを強調した。同相はインタビューの回答でも、原子力設備に上限を設けたことに言及。第3世代の欧州加圧水型炉(EPR)設計で建設中のフラマンビル3号機(163万kW)が完成した時点で、2基ほど閉鎖する必要があると言明している。


お問い合わせは、政策・コミュニケーション部(03-6812-7103)まで