3種ビーム 短時間に切替え 粒子線装置照射ノズル 三菱電機が開発、適用へ

三菱電機は17日、がん治療に使用される粒子線治療装置において、1つの照射ノズルでブロードビーム・積層原体・スキャニングの3種類の粒子線ビームを短時間に切り替えて照射できる「多機能照射ノズル」を開発したと発表した。

ブロードビームは患部の形状に成形した粒子線ビームを一括で照射できる照射法。また、積層原体は、患部の形状に成形した粒子線ビームを深さ方向に分割し、層状に重ねて照射できる。スキャニングは粒子線ビームをペンシル状に細く絞り、患部に走査して照射する照射法で、これら3つのビームを駆使し患者負担の軽減につなげる。1つの照射ノズルで、こうした3種類の粒子線ビームを短時間に切り替えて照射が可能なことが特長のひとつで、照射ノズルの迅速な切り替えに加えて、1つの治療室で患部の位置や形状に合わせた治療が可能となり、患者の負担軽減が期待できるという。またブロードビーム・積層原体照射にスキャニング照射で用いる高速走査電磁石を適用したことで、同社の従来装置に比べて、ビーム走査速度を5倍、照射時間を従来比で最大約3分の1に短縮した。さらに複雑な標的への的確なビーム照射を行うマルチリーフコリメータの適用も行い性能向上をはかった。

同社はこの「多機能照射ノズル」を2016年度から運用を開始する陽子タイプの施設に適用の予定。なお、薬事申請が必要な「多機能照射ノズル」を用いた粒子線治療装置について、早期の申請を行う方針。

現在、国内13の施設で粒子線治療装置による治療や臨床研究が行われており、同社はこのうち8施設に納入している。これらの医療現場から、短時間に治療を終えたい、照射法を切り替え患部形状に合わせて照射したい、といった要望が数多く寄せられていた。


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