州内原発の継続運転促す法案 米イリノイ州

米イリノイ州だけで11基の原子炉を操業するエクセロン社は2月26日、これらを継続的に操業することを目的とした超党派の法案が同州議会の上下両院に提出されたと発表した。

同州に「低炭素電源のラインナップ基準」を設けるという主旨で、消費者への影響を最小に抑えつつ同州が温室効果ガス削減において米国のリーダー的存在になることを狙った内容。州内の実業界や労組、および各コミュニティの代表者達が州議会の超党派議員グループに賛同し、豊かで信頼性のある電力供給の維持や再生可能エネルギーの拡大を求めるとともに、州内の総発電量の約半分を賄う原発を早期閉鎖した場合の様々な弊害について訴えている。

同法案は州議会下院で最近議決した1146号法案の発見事項を手本としており、イリノイ州原発の早期閉鎖が環境や経済、供給信頼性に及ぼす影響を分析した4つの州機関の報告書が元になっている。

同報告書の具体的な指摘点は以下のとおり。すなわち、(1)原発の閉鎖により年間18億ドルの経済活動が失われ、8000名分の常勤雇用を喪失する(2)原発閉鎖によりCOが徐々に増加すれば10年間で25億ドル〜186億ドルの経済的損失を被る(3)州北部の送電系統運用業者は昨年の極渦で輪番停電の危機を経験し、いかなる原発早期閉鎖シナリオの下でもシステムの信頼性が損なわれることに気付いた(4)州の2大送電系統運用業者によると、原発が早期閉鎖すれば初年だけで10%電力価格が急上昇する――などだ。

これに対する潜在的な政策ソリューションとして同法案が勧告しているのが低炭素電源のラインナップ基準の策定。州内の小売り電力量の70%に相当する低炭素エネルギー・クレジットを購入するよう特定の電力事業者に義務付けるというもので、各種の再生可能エネルギーや原子力、潮力、クリーン石炭などを有資格電源として明記している。


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