原子力委員会 黒川清氏よりヒアリング 事故で、世界に「日本の脆さ」

原子力委員会は10日、基本的考え方について、元日本学術会議会長で国会事故調査委員長を務めた黒川清政策研究大学院大学教授からヒアリングを行った。

同氏は、大きな事故が起こった際に独立した調査委員会を作るのは先進国では常識となっており、同事故調の発足が日本で憲政史上初ということに海外で驚かれたと指摘した。

また、これまで日本は科学技術やエンジニアリング、高品質な工業製品などで世界の信用を勝ち取ってきたが、福島第一原子力発電所の事故の映像で日本の脆さが一瞬にして世界に広まったと語り、事故の前にも見直しが求められていたにもかかわらず、日本では事故が起こらないものとして対策を怠ってきたとした。

さらに、黒川氏は、世界の原子力規制・行政との開かれた実効的な双方向コミュニケーションや、信頼回復に向け、透明性の向上、海外との人材交流では、専門家を受け入れるだけではなく、日本人専門家も海外で3年程経験を積み学んでいく発想などを述べ、これらを踏まえた上で、原子力委員会の役割は重要であり世界中が期待していると力を込めた。

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同委は3日、同じく基本的考え方について、中村桂子JT生命誌研究館館長からヒアリングを行った。

中村氏は、原子力は優れた科学である一方で、原子核分裂反応を現在のかたちの原子力発電として使う方法が必ずしも最適ではないのではと疑問を呈した。その上で、現在科学には、ブレイクスルーが必要だとし、科学技術万能からの脱却、科学技術の相対化、情報の共有、生きものとしての人間――へ転換し、人間復興へと向かうことを示唆。人間は自然の一部であるとの基本に立ち戻って、未来を考えていくべきだとした。また、自然を愛し親しんできた日本の心にも学ぶ点が多いとの考えを述べた。


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