食品破壊せずにCs測定 理化学研究所 ジーテック 発光シグナル数から算出

理化学研究所とジーテックの共同研究グループは9日、食品中の天然由来の放射性カリウムと区別し、原子力発電所の事故に由来する放射性セシウムの放射能を非破壊で測定できる高感度、大面積、低コストの放射能測定器を開発した。

福島県では、福島第一原子力発電所の事故から4年を経た現在でも、食品に関する風評被害がある。風評被害を防ぐ有効手段の1つとして、農産物や魚介類、それらを使用した加工食品などの放射能を測定し安全性を確認することが挙げられる。ところが、従来の測定器は放射線(ガンマ線)を感知し発光する部分(シンチレータ)が底面にあるため、食品の形によっては正確な測定が難しいという問題があった。そのため、食品をミキサーにかけ、小さく破砕してから測定する作業が必要だった。

共同研究グループは、食品を破砕せずに測定するために、食品を包み込むようにシンチレータを配置する設計を考えた。まず、低コストで成形が比較的簡単なプラスチックシンチレータ(PS)を検出器として用いることを検討したが、エネルギー分解能が低く、天然由来の放射性カリウムと事故に由来する放射性セシウムの区別が困難だった。そこで、PSからの発光シグナルの数(光子数)の分布を詳細に調べ、測定した光子数分布の形から、放射性のカリウムとセシウムの割合を算出する手法を考案した。この手法を適用し円筒形のPSを配置した放射能測定器「LANFOS」を開発した。

LANFOSの技術を用いることで、箱詰めされた食品をそのまま計測できる大型の放射能測定器を安価に制作することが可能となるため、出荷時の全品検査の実現が期待できるという。


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