日本の廃止措置にも言及 英国NDAシンパー氏 セラフィールド管理方式で

英国原子力廃止措置機関(NDA)の戦略・技術担当理事のエイドリアン・シンパー氏がこのほど来日し、記者団のインタビューに応じた。

今回来日の目的は、同氏が「英国で最も複雑で主要なプロジェクトを抱える原子力サイト」としているセラフィールド・サイトの管理方式変更に関し関係者に説明を行うためだが、今後、日本で増加する見込みの原子力発電所の廃止措置についても助言を述べている。

例えば、シンパー氏は、原子力発電所の運転段階から廃止措置段階への移行について、「サイトの存在目的がまったく変わり、管理の方法も変わってくる」としているほか、「運転している間は収入があるが、新たにコストが生じてくる」と財政上の課題も指摘する。

さらに、同氏は、「技能ある人員を長期的に確保していくことが非常に重要でかつ難しい」と人材面の問題も掲げた上で、「廃止措置はチャレンジングであることを認識させねばならない」などとも述べている。

セラフィールド・サイトの管理方式変更のポイントとして、シンパー氏が特に訴えるのは、「戦略的パートナー」だ。これまでの体制について、「長期にわたるパフォーマンス向上を実現するためには最適なものではないのではないか、という懸念があった」などと、変更の背景を述べ、今後約15か月の移行期間に、長期にわたるプロジェクトを成功裏に導くよう、民間セクターの役割の重要性も強調する。

また、日本で現在進められている福島第一原子力発電所の廃止措置について、津波による海水の影響など、通常のプラントと異なる複雑な状況に関して、同氏は、「よりセラフィールドに近いのでは」として、助言すべきことも多いと述べたほか、安全に作業ができる環境作りの重要性も指摘した。


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