チェルノブイリ石棺の覆い完成へ 欧州復興開発銀行

チェルノブイリ石棺基金(CSF)を管理する欧州復興開発銀行(EBRD)の16日付け発表によると、1986年に事故を起こしたチェルノブイリ原子力発電所4号機の石棺を安全に覆う、新しい閉じ込め構造物(NSC)の建設工事が終盤に近づいている。

事故直後に建設された石棺に崩壊や放射能漏れの危険が生じてきたことから、地元ウクライナと先進7か国(G7)は1997年、石棺の安定化と新たな覆いの建設を目指した「石棺実施計画(SIP)」を取りまとめた。同計画の柱であるNSCは高さ110m、長さ165mという巨大なアーチ型構造物。100年の間、放射性物質の環境への漏洩と石棺の崩壊を抑えるとともに、全自動クレーンなどの付属設備により最終的な廃止措置業務を支援することになる。

建設工事は2010年後半から石棺隣接区域で開始され、作業ピーク時には27か国から1200名の労働者が建設に従事した。今後は2つの主要パーツをつなぎ合わせ、高性能の換気システムを設置予定。覆いが17年に完成した後は、石棺上部にスライド移設させることになっている。

SIPの総コスト21億5000万ユーロのうち、15億ユーロがNSCの建設経費。現時点で同プロジェクトの資金はかなり不足しているが、EBRDの株主は最近、欧州委員会(EC)とG7諸国が1億6500万ユーロを拠出するなら、積立金の中から3億5000万ユーロを追加拠出するとした。また、残りの1億ユーロをEU圏外諸国や非G7諸国からの支援金で手当てすることになるとしている。


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