ウクライナ:ザポロジェ1号機の運転期間延長を申請
ウクライナの原子力発電公社であるエネルゴアトム社は5月20日、年末に30年の公式運転寿命を迎えるザポロジェ原子力発電所1号機(100万kW級ロシア型PWR)について運転期間の延長を国家原子力規制検査庁(SNRC)に申請した。同国で稼働する15基の原子炉は総発電量の5割を賄うなど電力の供給保障上重要な役割を担っていることから、SNRCはこれまでにロブノ原子力発電所1、2号機で20年間、南ウクライナ原子力発電所1号機では10年間の運転期間延長を承認済み。南ウクライナ2号機でも10年間の延長認可手続きが進展中となっている。
エネルゴアトム社によると、30年という運転寿命は1970年代から80年代の科学的見解に基づいて純粋に保守的に見積もられたもの。実際の運転経験においては、主要機器の寿命はそれよりもかなり長いことが証明されており、その他の機器も比較的低コストで取り替えが可能だとした。また、英国や米国、フランス、カナダ、ロシアといった原子力発電国で運転期間延長が受け入れられていること、ウクライナの2030年までの国家エネルギー戦略においても、原子力発電所の運転がエネルギー自給を実現する必要条件の1つとなっている点を強調。その他の電源で信頼性のある電力供給が難しい、あるいは新たな電源が起動可能になるまでの時期は特に重要である上、運転期間の延長によって消費者に過度の負担をかけることなく廃止措置資金の貯蓄が可能になるとしている。
運転期間の延長手続きとしては、定期安全性再評価や総合検査レビューなどの審査のほかに、地元コミュニティにおける公聴会開催がある。エネルゴアトム社はその一環として、ザポロジエ1号機の運転期間延長を申請した同日、100万kW級原子炉が6基稼働する欧州でも最大規模という同発電所(=写真)にニーコポリ市など近隣自治体の代表者らを招待した。ビジター・センターでの紹介レクチャーに始まり、コンピューター室やタービン発電機、使用済み燃料乾式貯蔵所などの視察を通じて同発電所主要設備の技術的特徴を説明。1、2号機の運転期間を延長する技術的・経済的な実行可能性や、諸外国における同様の実施例についても解説した。