エジプトの原子力導入計画:中国と協力覚書

2015年5月28日

©CNNC

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 エジプトが1980年代から検討している原子力発電導入計画について、中国核工業集団公司(CNNC)は5月27日、エジプト原子力発電所庁(NPPA)と協力していくための了解覚書に調印したと発表した(=写真)。CNNC代表団が21日から23日にかけてエジプトを訪問したのを機にカイロで調印したもの。CNNCは同覚書により、新たな段階に入ったエジプトの導入計画推進に協力する公式パートナーの1つになったと強調した。また、CNNCと中国広核集団有限公司(CGN)それぞれの第3世代設計を融合させて開発した「華龍一号」を同国に輸出するため、国家開発銀行のカイロ事務所にも訪れて、意見調整を行ったことを明らかにした。エジプトは今年2月、ロシアとも同様の覚書を結んでいることから、本計画に関する国際入札が韓国を含めて行われるとの見方も浮上している。

 エジプトは人口の増加に伴う電力需要拡大への対処や生活水準の向上を目指し、1980年代に地中海沿岸のエル・ダバに100万kW級原子炉2基を建設する計画を打ち出した。しかし、チェルノブイリ事故を契機に計画は中断。2000年代に入り、政府は国際入札の手配や採用設計の選択調査等を行い、専門的人材の育成で必要な協力を韓国に依頼するなど準備作業を進めたが、2011年の政変(エジプト革命)により計画は棚上げ状態になっていた。

 改めて国際入札が行われるという情報は昨年夏頃からエジプトのメディアで複数報道されており、入札条件として落札者はプロジェクトの資金調達に責任を負うなどと伝えられていた。ロシアと2月に結んだ協力覚書では、ロスアトム社とエジプト電力・再生可能エネルギー省が同プロジェクトでの協力に関して詳細な協議に入ることで合意。ロスアトム社は原子炉2基の建設と資金調達それぞれに関する政府間協定の締結に向けた準備を早急に行う必要があると指摘していた。