フィンランド:TVOが原則許可期限内のOL4建設許可申請を断念
フィンランドでオルキルオト原子力発電所4号機(OL4)の建設を計画していたテオリスーデン・ボイマ社(TVO)は5月13日、2010年に取得した「原則決定(DIP)」の有効期限である6月末までの建設許可申請を断念すると発表した。同日に取締役会が決定したもので、近々臨時総会に諮る考え。しかし、フィンランドの低炭素なベースロード電源として原子力が必要という見解は変わっておらず、同社のJ.タンフア社長兼CEOは、今後新たなDIPを別途申請するとの方針を表明している。 DIPの有効期間は発給から5年間で、TVOは昨年8月に有効期限の5年延長を申請した際、「建設中の3号機(OL3)の完成が遅れており、数十億ユーロの投資を伴う4号機関連の重要決定を期限内に下すことは不可能だ」と主張した。これについて、フィンランド放射線・原子力安全庁(STUK)は「安全上の問題はない」として認める判断を下す一方、フィンランド内閣は同年9月にTVOのDIP延長申請を却下。雇用経済省(TEM)は、建設許可の申請期限が延びることによって、OL4計画の実現性やスケジュールに多大な不確実性がもたらされる懸念があると説明していた。
TVOが出力145万kW~175万kWの原子炉建設を想定するOL4計画については、2013年1月までに仏アレバ社、GE日立社、韓国水力・原子力会社(KHNP)、三菱重工業、および東芝の5社が入札提案書をTVOに提出。候補設計としては、欧州加圧水型炉(EPR)、ESBWR(高経済性・単純化BWR)、韓国製APR1400、重工製APWR、東芝製ABWRが挙がっていた。
一方、OL3(160万kW級EPR)は2005年に着工したものの、機器の規制手続きや土木作業の遅れなどにより、完成予定年は当初の2009年から大幅に遅延。昨年9月のスケジュールでは、2016年半ばに建設作業が完了後に起動段階に入り、2018年に運転開始するとの見通しとなっている。