フランス:フラマンビル3の耐圧機器で新たな試験実施
フランス初の欧州加圧水型炉(EPR)となるフラマンビル原子力発電所3号機(FL3)(PWR、165万kW)を建設中の仏電力(EDF)は4月19日、原子力耐圧機器(ESPN)の頑健性を保証するために2005年から課された要件の遵守状況を実証すべく、設計者であるアレバ社とともにFL3で一連の新たな試験を実施すると発表した。アレバ社は4月7日、FL3の原子炉容器上鏡と下鏡に鋼材組成の異常部分が見つかったと仏原子力安全規制局(ASN)に通知しており、新たな試験では異常箇所を正確に特定するとともに、その機械特性を見極めるのが目的。ただし、EDFは「現段階での入手情報に基づきFL3建設サイトでの作業を継続する」との方針を示している。
フランスの耐圧容器に係わる基準では、安全上最も重要な機器の製造において、材料物質の不均質によるリスクを制限内に抑えるようサプライヤーに要求。この技術要件に取り組むため、アレバ社はFL3と同種の原子炉容器上鏡を使って成分分析・機械特性試験を実施したが、機械的強度を弱める可能性のある高炭素濃度箇所の存在が昨年後半に明らかになった。FL3の初期計測においても、この異常が上鏡と下鏡で確認され、アレバ社は一層詳細な試験の実施をASNに提案。ASNは同社の試験プログラムが受け入れ可能かチェック中で、技術支援機関である仏放射線防護原子力安全研究所(IRSN)とESPN専門家諮問委員会にも支援要請するとしている。
EPRは現在、フィンランドのオルキルオト原子力発電所で1基、中国の台山発電所で2基が建設中のほか、英国のヒンクリーポイントC発電所として2基の建設が計画中。ASNはこれらの関係者にも現在の状況を通達した。
なお、問題となっているフラマンビル3号機の原子炉容器の上鏡と下鏡はともに、アレバ社が保有するクルーゾー・フォルジュ社製。一方、これに先だってフィンランドのオルキルオト3号機に納入された上鏡と下鏡は日本製鋼所が製造したもので、品質上何の懸念もないことをASNが確認済みとなっている。