ベルギー:エレクトラベル社がドール3などの再稼働日程を11月に延期

2015年5月14日

 2012年に圧力容器からヒビの兆候が検知されたベルギーのドール3号機とチアンジュ2号機の本格的な再稼働について、事業者のエレクトラベル社は5月13日、7月1日までとしていた両炉の停止期間を11月1日まで延長する方針を明らかにした。7日にベルギー連邦原子力規制局(FANC)が今後の審査日程として、「再稼働の承認までにはさらに数か月を要する」と発表したのを受けたもの。圧力容器母材の機械特性について同社が昨年実施した試験の結果は、国際的な専門家で構成される小委員会(IRB)が4月下旬に精査しており、IRBは両炉の安全性保証文書(セーフティ・ケース)の作成で用いられる計算方法への見解を近々公表予定。このような方法論が妥当と判断されればエレクトラベル社がセーフティ・ケースを作成する段取りで、その提出と規制当局による審査はさらにその後になる見通しだ。
 
 ドール3号機では2012年6月、チアンジュ2号機では同年9月の定期検査でヒビの兆候が検知されたが、FANCは2013年1月、「両炉を閉鎖しなければならないような要素は見当たらない」との見解を表明。再稼働前に11件、稼働後に5件の追加要件を課した上で、同年5月に両炉の再稼働を許可した。しかし、原因となった水素白点のある試料で機械的耐性試験を行ったところ、理論モデルよりも放射線影響を強く受けるとの暫定結果が出たため、エレクトラベル社は両炉の停止日程を前倒しして2014年3月から第2シリーズの試験を開始した。同年10月になると規制当局は、両炉を本格的に再稼働させるまでの審査プロセスとして2段階の手順を踏む方針を表明したほか、11月には同社に追加の要請と勧告を提示した。こうした動きの中で同社は今年1月、規制当局の要請・勧告に適切に応えるため、両炉の再稼働日程を4月から7月に延期すると発表していた。