ベルギー:ドール3などの圧力容器健全性試験結果を専門家小委が審査
ベルギー連邦原子力規制局(FANC)は5月7日、約3年前に圧力容器部分に毛状ヒビの兆候が検出されたドール3号機とチアンジュ2号機の本格的な再稼働に向け、事業者が昨年実施した追加試験の結果を国際的な専門家小委員会(IRB)が審査したと発表した。同委はまず、事業者であるエレクトラベル社が両炉の安全性保証文書(セーフティ・ケース)作成に用いる計算方法などの方法論について、近々見解を公表する予定。それらが妥当であるとの結論が出れば、セーフティ・ケース自体を審査対象とすることになる。
エレクトラベル社が実施した機械特性試験は圧力容器母材物質に対する長期的な放射線照射の影響を調べるのが目的。ヒビの原因となった水素白点が含まれる試料を原子力研究センター(SCK-CEN)のBR2試験炉で照射した上で行われており、この分野の専門家で構成されるIRBはそうした試験結果を3日間にわたって精査した。エレクトラベル社はセーフティ・ケースの中で、水素白点の存在がRPVの構造上の健全性を損なうことはないと確実に実証しなければならないため、同文書を構成する主要な3課題、(1)RPVの超音波探傷検査技術、(2)水素白点のある試料の物質特性、(3)水素白点のあるRPVの構造的健全性--のそれぞれに対応した行動計画を実施する予定である。
今後の審査ステップとして、エレクトラベル社はこれらの3課題に対応した行動、および試験結果解釈の完了後、セーフティ・ケースをFANCに提出する。FANCとその技術支援組織であるBelVは同文書の徹底的な審査にあたり、(1)については供用期間中検査グループのAIBバンコット社、(2)に関してはIRB、(3)については外部研究チームの専門的知見を用いる方針。これら関係者の見解を集約・勘案した上で両炉の本格的な再稼働を認めるか判断するが、それにはさらに数か月を要するとの見解を示している。