中国国務院・常務会議が「華龍一号」実証炉の建設を承認
中国の李克強首相が議長を務める国務院常務会議は4月15日、中国が知的財産権を有する第3世代の輸出用・独自ブランド設計「華龍一号」の実証炉建設を承認した。これを受けて中国核工業集団公司(CNNC)は、同設計の採用が決定している福清原子力発電所5号機の建設準備が整ったと歓迎。6月30日までに本格着工を目指すとの抱負を表明した。
15日の常務会議では、国家発展改革委員会の報告書を元に2015年の経済改革における優先タスクについて協議。発展改革委がすでに承認済みの「華龍一号」実証炉建設を改革の推進力の一つに加え、エネルギー供給構造の着実な成長を促すとした。また、同設計は20年にわたる中国の原子力プラント建設と運転の経験に基づき、世界の最新世代設計から学びつつ独自の技術革新によって開発されたと強調。同設計で使われる主要技術と機器の知的財産権を中国が保有していることから、海外原子力市場への進出を目指す国家政策の促進にもつながると指摘した。こうした背景から、同設計実証炉を国の長期原子力発電開発計画に従い、沿岸地域で建設することを承認。これはエネルギー開発における国際的な傾向に合わせた判断であり、エネルギー供給構造の合理化とクリーン・エネルギー・システムの多様化のみならず、中国機器製造産業の国際競争力強化や効果的な投資、産業構造の安定化、経済成長の高度化、省エネルギー、持続可能な開発の促進に役立つとの見解を示している。
「華龍一号」は国家能源局の指示により、CNNCと中国広核集団有限公司(CGN)それぞれが第3世代の技術安全特性を有する炉として設計した「ACP1000」と「ACPR1000+」を融合して開発。昨年8月に国家能源局と国家核安全局がその全体設計を承認していた。CNNCによると、安全設計には動的および静的概念を組み合わせるなど、国際的に最も厳しい安全基準を遵守。多重の安全システムや二重格納容器、多重防護の原則を採用しており、過酷事故の発生防止と影響緩和が図られている。昨年11月に国家能源局は、CNNCが「ACP1000」を採用と公表していた福清5、6号機への「華龍一号」採用を決定。翌12月にはCGNの防城港原子力発電所Ⅱ期工事(3、4号機)への採用も決定している。