南ア:原子力プラント新設で年内にベンダー選定へ
南アフリカ共和国エネルギー省のT.ジョマット=ピーターソン大臣(=写真)は5月19日、2008年の原子力政策などに沿って960万kW分の原子力発電設備拡大プログラムを進めるため、年内にもベンダーを選定する方針を明らかにした。南アはこの準備作業として近年、国内に原子炉ベンダーを有する米国、韓国、ロシア、フランス、中国と原子力協力に関する政府間協定を締結済み。2023年には新設初号機の運転を開始するとしている。
この方針は同日、エネルギー相が議会で行った2015/16年の政策・予算演説に盛り込まれていたもの。同相はまず、国家開発計画が目標に掲げた5.5%の経済成長達成にはエネルギー供給保証が不可欠だとし、原子力新設プログラムとシェールガス資源の開発などを通じた電力インフラの開発は特に重要な役割を果たすと指摘。政府が2008年、経済成長の促進と社会経済的ニーズに対する組織的な取り組みとして原子力設備を増設する政策を承認したこと、および内閣が2010年に960万kWの原子炉新設を盛り込んだ統合資源計画(IRP)を承認していた事実に言及した。
エネルギー相は次に、原子力技術や資機材調達に関する協力や貿易の基盤として、様々な国との政府間協定に調印した点を強調。これらの協定を今後数週間以内に内閣に上程するのに続き、批准手続きのため議会に諮る計画だとした。具体的な資機材調達プロセスとして戦略的パートナーの選定も、4月に始まった本会計年度の第2四半期から競争的かつ公平に、透明性とコスト効果のある方法で始める予定で、年末までに内閣に結果を示したいとの抱負を表明した。また、南アがかつて、豊富なウラン資源を背景にウラン濃縮施設や六フッ化ウラン転換施設、および軽水炉用燃料加工施設を保有していたことから、同相は国内の鉱物資源や政府の有用鉱物選鉱戦略を活用して原子燃料サイクル施設を再設置するビジネス・モデルを完成させると明言した。
このほかエネルギー相は、原子力新設プログラムを進展させる準備として、専門的人材の育成プログラムを開始したと発言。学生を様々な国の専門実習に送り出す方針で、すでに今年4月、政府と産業界から50名の原子力訓練生を中国に送ったほか、追加の250名を送る計画だとした。また、ロシアが今年、原子力物理学で修士レベルの5つの新しい原子力奨学金を提案。韓国も、原子力工学の修士課程で南アの学生が訓練可能な常設プログラムを用意したことを明らかにしている。