米国:2014年の原子力発電所運転実績は継続的に良好
米原子力エネルギー協会(NEI)は4月16日、米国で稼働する原子力発電施設の2014年の運転実績を分析し、信頼性と安全性ともに10年以上にわたり継続して良好な実績を残しているとの結果を発表した。原子力プラントにおける盤石な安全文化とたゆまぬ改善努力について特に言及しており、消費者は頼もしいベースロード電源として原子力から恩恵を被ることができるとの認識を示している。
今回の分析で、NEIは世界原子力発電事業者協会(WANO)と米原子力発電運転協会(INPO)が毎年報告している産業パフォーマンス・データを活用した。それによると2014年に米国の原子力発電施設では信頼性と安全性の両面で記録的に高いレベルを維持しており、2015年の目標に近づくか、あるいは達成したものもあると指摘。NEIのA.ピエトランジェロ上級副理事長は、「このように素晴らしい年間実績は注目に値する」と述べ、良好な実績を10年以上も持続できたことは原子力が真に卓越していることを示していると強調した。具体的なパフォーマンス指標のうち、原子炉100基の年間平均設備利用率は91.7%だったが、15年連続で91%以上を達成したことは、あらゆる電源の中でも過去最高の実績であるとした。また、年間通じての計画外停止回数は自動と手動合わせて59回で、過去12年間で最良の記録。原子力発電所従業員が安全確保に精力的に取り組み、定期検査や燃料交換を春と秋の電力需要が低い時期に調整できた結果だと分析した。さらに、多重防護の概念に基づき装備されている2つの予備冷却システムと1つのバックアップ電源は、利用可能確率が96%と2008年以来最高だったと指摘。過去からの推移で見ても、この確率は1999年以降、一貫して93%以上だったことを明らかにした
このほか、原子力産業界全体の優秀さを示す指標として、NEIは従業員の安全性に関するINPOデータに言及。20万人・時あたりの人身事故件数が昨年は0.03と、2015年の目標である0.1件を大幅に下回っており、他の産業と比較してもはるかに良好な結果だとした。労働統計局によれば、この数値は製造部門や娯楽産業で就労するより原子力発電所で働く方が安全であることを示すもので、金融部門でさえこれには及ばないとしている。