ECがハンガリーとロシアの原子燃料供給契約を承認
ハンガリー政府は4月20日、増設する原子炉2基用の燃料確保のため昨年12月にロシアと結んだ供給契約を欧州委員会(EC)が承認したと発表した。首相府のJ.ラーザール長官(=写真)は、これにより同国唯一の原子力発電所の設備容量維持に向け、すべての障害が取り除かれたと歓迎。2018年の着工を目指して同増設計画は大きく前進したとの見解を表明している。
ハンガリーでは4基のロシア型PWR(VVER)がパクシュ原子力発電所で稼働しており、国内の総発電量の4割を供給している。近年、これらの30年の運転認可が満了しつつあるため、国家原子力庁が1号機から順次、運転期間の20年延長を承認している一方、政府は2014年1月にロシアの低金利ローンにより出力120万kWのVVER2基を同発電所に増設することでロシアと合意。同年12月には同国の原子力エンジニアリング企業と(1)エンジニアリング・資材調達・建設(EPC)契約、(2)完成炉の運転・管理契約、(3)燃料の供給契約--を締結した。
しかし3番目の燃料供給契約について、ECは今年3月に燃料供給セキュリティ上の懸念を表明。EU加盟国はすべての発電所の燃料供給源を複数箇所に多様化するよう求められていることから、欧州原子力共同体供給局(ESA)はハンガリーとロシアの契約に副署することを拒んでいた。
ラーザール長官によると、その後同国政府はESAおよびECとの協議を重ねており、関係者間の見解の相違を埋められたと明言。ESAが同増設計画の燃料契約に署名したことを明らかにした。また、今回の問題は欧州におけるエネルギー供給セキュリティ、およびハンガリーのエネルギー自給とガス火力からの自立に関するものであり、ロシアへの依存を深めることにはならないと強調した。