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(ドイツ)財務省、原子力に巨額課税を検討

2010年6月23日

 ドイツの財務省は、2011年の連邦予算および2014年までの財政計画の一部として、原子力発電所の運転者に対し、年間23億ユーロ(約28億ドル)の「超過利得税」を検討中である。


 政府は、化石燃料部門における炭素排出コスト増大の結果としての電気料金の上昇に伴い、原子力発電事業者が余剰利益を得ることになり、その分に対する追加の税金は正当化されると説明している。


 財務省は、「原子力の運転期間の延長などエネルギー政策全体を考えると課税は必要」としている。ドイツが何百億ユーロもの予算削減を検討している時でもあり、「その税金は原子力発電所の廃止措置と最終処分費用に使われることになる」と述べている。


 ドイツの原子力発電所は、発電量割り当てにより運転寿命が平均34年に制限されている。しかし、2009年9月の総選挙の結果、現在の連立政権には反原発の党が入っていないことから、運転寿命の延長が検討されている。一方、EOnやRWEなどドイツの原子力運転者は、ブルガリア、フィンランド、イタリア、英国など欧州域内で600万kWの新規原子力発電所建設のためのジョイント・ベンチャーを設立している。


 原子力廃止政策の変更、いわゆる寿命延長政策により、原子力運転者には大きな利益が転がり込んでくる。政府は、23億ユーロの原子力課税案は、廃止政策の変更とリンク付けるのではなく、核燃料税と位置付けて原子力運転者が負担すべき追加コストとみなすべきである、と述べている。


 原子力廃止政策の変更や課税を含む関連事項は、7月の概略案に続いて今年10月に出る国家エネルギー計画に盛り込まれる予定である。


 バークレー・キャピタルのアナリストは、今回の課税案は産業界にとってマイナスであり、EOn やRWEにとって影響は大きいとしている。


 同アナリストは「これらの会社の2009年決算報告書によると、それぞれ92億ユーロ、86億ユーロと規模が大きく、課税が、ENBW、バッテンフォール社を含め、ドイツの原子力運転会社の信用度を下げるとは思わない」としながらも、「ドイツ、フランスの主導により欧州全域に導入されている緊縮財政が、経済回復や2010年及び2011年のエネルギー需要に影響を与えるかどうか明確でない時期に、今回の課税計画は、産業の自由なキャッシュフローにインパクトを与えかねない」と指摘している。


 加えて「ドイツで課税政策が実施されれば、他の国でも同様、二酸化炭素を排出しない原子力や新エネルギーをターゲットとし、電力会社に課税することにつながる」とも述べている。


 アナリストは結論として、「この新しい動きは欧州原子力セクター(EDF、GDF-Suez、Fortumなど)に不確実性をもたらすだけである」と批判している。


 (2010年6月15日付WNN)


(原産協会・国際部まとめ)